小松の”まいぶん”はすごい。

国の重要文化財が2件。弥生時代と古墳時代に、タ~イムスリップ!


※まいぶん= 埋蔵文化財

小松の”まいぶん”はすごい。

八日市地方(ようかいちじかた)遺跡出土品一括(1,020点)

  • 重要文化財指定品の一部/撮影 小川忠博

膨大な数の出土品。“ 全国初”も多数。


平成23 年に国の重要文化財に指定された「八日市地方遺跡出土品」の数は、なんと1,020 点!これだけの数のものが一括して指定されるのは大変めずらしい。発掘調査での出土量を聞けばもっと驚く。土器・土製品がコンテナバット約4,300 箱、石器・石製品が約300 箱、木器・木製品が35,000 点に及ぶという。小松市埋蔵文化財センターでは今も出土品の接合作業などが続けられているが、倉庫いっぱいに保管されている出土品の作業は、いったいいつまで続くのでしょう…。
さらに驚かされるのは、“ 全国初”のものが多数あること。赤と黒で彩色された魚形木製品や、木のつか付きの磨製石剣、それに用途のわからないユニークな形の木製品などなど。「小松式土器」と命名されている一連の土器もある。また、管玉製作の工程がわかる出土品もあり、とにかく貴重な弥生時代の遺跡なのである。

八日市地方遺跡( ようかいちじかたいせき)


小松市八日市町地方・日の出町に位置し、昭和5年の発見以来、北陸を代表する弥生時代の遺跡として考古学会で注目を集めた。第2次大戦後まもなく行われた学術調査で発見された土器は、北陸の櫛目文( くしめもん) 土器の代表として「小松式土器」と称されるなど、古くから小松の名を全国に広めた。


平成5年、小松駅土地区画整理事業に伴い、8カ年にわたり実施した発掘調査によって、遺跡面積は10 万㎡を超える多重環濠( かんごう) 集落であることが判明。出土品は何十万点という膨大な量に及んだ。この出土品の内容は、広域な地域間交流を示すとともに、ヒスイ製勾玉、碧玉製管玉( へきぎょくせいくだたま)、木製の農耕具、容器類などの良好な製作工程資料が伴うこと、さらに多様な形態の祭祀具がみられるなど、北陸地方を代表する弥生時代中期の拠点的集落の様相を示す一括資料と評価され、平成23 年6月27 日、1,020 点が重要文化財指定を受けた。

矢田野(やたの)エジリ古墳出土埴輪一括

  • 馬飼人を従えた騎乗の人/馬と馬に乗る人が別作りされており、またそれぞれに馬飼人がついて対と なっている、全国的にもめずらしい例の埴輪。

ユニークな人物埴輪で知る、古代の祈り。


質・量ともに北陸で最大の埴輪群である。写真のとおり、造形的にもたいへん魅力的だ。髪を結った巫女の祈りの表現や、胸に勾玉を付けた人物が片手を上げる様子、ギザギザ頭( 冠らしい)の人など、どれも心ひかれる埴輪たちだ。
中でも、馬と馬上の人物と馬子の完全な組み合わせは全国初の発見だったそうで、学術的にも非常に価値が高い。復元時「足を広げたこの人物は何だろう・・・もしや」と思った発掘職員が、ちょこんと馬の背に乗せてみると鞍にしっかり納まった! それで馬と人がワンセットであることが分かった、というエピソードもある。
これらの埴輪の発見によって、この地方でも人物埴輪を持つ埴輪祭祀が存在したことがわかった。古代の祭りの様子をあれこれ想像したくなる貴重な文化財だ。

人物埴輪


服装や髪型や装飾品など、古代の人々の姿をよく知ることができる。


  • ・前右;襷( たすき) がけ袈裟衣( けさい)の女子 … 髷( まげ) を結い、手を合わせ、祈りの姿をしている。巫女( みこ) と考えられる。
  • ・前右から2 番目:飾り帽子の男子 … 丸玉の首飾りをつけ、美豆良( みずら) という髪形に飾り帽子をはめた男子像。
  • ・前左:刀子( とうす) を佩( お) びる人 …左前に刀子という小刀を付けた人物。
  • ・前左から2番目:勾玉をつける人 … 胸に勾玉を付けた人物。
  • ・後右:袈裟衣( けさい) の女子 … 下の円筒部が失われているが、袈裟衣を右肩から左腰にかけた巫女の姿をしている。
  • ・後中央:天冠( てんかん) の男子 … 頭部に冠の表現をもつ人物。
  • ・後左:跪座( きざ) の男子 … なき首長の遺徳を奏上したり、あるいは新しい首長に忠誠を誓うなど、ひざまづいている男子像。

円筒埴輪と朝顔形円筒埴輪


矢田野エジリ古墳の円筒埴輪の大半は、倒立技法でつくられていることがわかった。前右のみ朝顔形円筒埴輪といい、広がる口の部分が朝顔に似ていることから名付けられている。これらの製作技法やプロポーションなどから、なんと古代朝鮮半島百済との関係も日韓の研究者間で議論になったそうだ。

矢田野エジリ古墳 ( やたのえじりこふん)


小松市矢田野町( 春日町) に位置する遺跡。昭和 63 年に発掘調査がおこなわれ、古墳の盛土や埋葬施設は全て失われていたが、古墳をとりまく溝が発見された。そして、この溝から大量の埴輪を検出。また、古墳の全長が約30mの前方後円墳であることも判明した。


埴輪は、死者への供養のために古墳の周囲に並べて飾った大型の土製品である。筒状の円筒埴輪が主体だが、古墳時代後期には、多様な人物埴輪が登場することが知られている。


矢田野エジリ古墳の周溝から出土した埴輪群は、人物埴輪11 個、馬形埴輪2 個、円筒埴輪42個、朝顔形埴輪6個。馬と人物は、葬列の様子を表現したのではないかと考えられている。また、これらの埴輪は土師質でなく、須恵器の窯で焼かれた須恵質であることが大きな特徴 。平成9年に国の重要文化財に指定された。



小松市埋蔵文化財センターについて

小松市埋蔵文化財センターで保管しています。


重要文化財である八日市地方遺跡出土品一括と矢田野エジリ古墳出土埴輪一括は、 小松市埋蔵文化財センターで保管している。
小松市埋蔵文化財センターでは、これらの重要文化財を常時観覧することはできないが、年4回ほどの企画展の中で登場することがある。現在展示されている詳しい内容は、小松市埋蔵文化財センターに問い合わせを。めぐりあうことができるかも。

平成23 年4月14 日~6月19 日 「こまつのむかし」展より
平成23 年4月14 日~6月19 日 「こまつのむかし」展より
小松市埋蔵文化財センター外観
小松市埋蔵文化財センター外観


【開館時間】 9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休 館 日】 毎週水曜日(祝日を除く)、祝日の翌日、年末年始
【入 館 料】 無料

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